
製品価値をどう表現するか、マーケティングでは重要な要素だと思います。
この点で、研
究を担当された方々がキチンと評価されるように、数値として示すことが大切だと思います。
分析値は、その製品の価値を分かりやすく伝えるための“言語”であると考えます。
皆さんの分析屋のイメージは、食品の栄養表示や成分分析といった“決められた手順の化
学分析”ではないかと思います。
それも分析技術者の大事な仕事ですが、それだけではなく、皆さんの材料の特徴を数値で表すための試行錯誤をすることは分析化学における研究
要素として大切な仕事だと思っています。
例えば、樹脂が白くなる原因を知りたいというオーダーは、分析手法が決まっていないので、分析担当者が自分の経験をベースに試行錯誤します。
多くの場合、チャレンジングな内容であることが多く、様々な分析手法を組み
合わせていく必要があります。
この試行錯誤は結構なコストがかかるため、場合によってはいち企業で担えるものではなく、大学と共同で進めるような基礎科学的要素を含んでいることも多いと感じています。
そのため、企業は大学ともっと積極的にコミュニケーショ
ンを取り、製品開発に繋がることは自社で、基礎的なことは大学のリソースを活用するな
ど役割分担をし、最短でゴールを目指すというのが理想だと思っています。
話はそれましたが、公定法の無い分析は分析担当者の経験と勘に依るところが大きく、その意味ではどれだけたくさんの分析技術者と交流があるかという点も課題解決に重要なポイントになります。
そのため、大手の分析化学会社には様々なバックグラウンドの方々が所属され、これまでのノウハウも蓄積されていることから、解決への時間も短くなると思います。
一方で、それでもダメなケースも多いのが実情で、特に分析会社は答えが出せない可能性がある案件は受けづらい(価格が付けづらい)のです。
これは、製作できる見込みのない案件を受注しないのと同じだと思います。
そうすると、“分析難民”が生じます。弊社は、“ダメもと”という了承を頂いて、様々な大学の先端機器を駆使して分析を行っています。
お客様には100点の回答はできなくても、現在の科学でできる限界をお伝えし、それだけ難しい課題に取り組んでおられることをご理解頂くと同時に、高度な技術で限界に挑戦しておられることを誇って頂きたいとも思う次第です。
つまり、お客様の技術が分析技術を追い越しているということです。ただ、それで終わるのではなく、お客様と共に新しい分析技術を開発し、その価値を数値化することで他社製品との正確な比較や特徴点の抽出、果ては自社技術の高さを示すことになり、研究力をマーケティングに生かすことができると考えています。
研究がコストではなく価値を創造する世界に、分析が価値を創造する一助になる好循環を生むサイクルを提唱していきたいと考えています。
河野拝