
私が博士を取ったのが2011年、他の人よりも長くかかってしまいましたが、取得から15年
ばかり経過しようとしています。
博士号を取ることがゴールではなく出発点だと思ってい
ましたが、この年になって博士号を取りたい人が潜在的に社会に存在することを感じます
。
ひとつは海外と仕事をされる場合で、博士号を持っている方が相手と話がしやすいとい
うことだそうです。
特に企業に勤めておられると感じることがあるのだろうと思います。
私自身、大学に所属しているわけではないので研究者と言っていいのか分かりませんが、
博士課程は“自分でテーマを考えて研究するトレーニングを受ける”期間だと思っていま
す。
指導教官だった渡會先生が研究者としても教育者としても優秀だったので、私はとて
も良い経験ができたと思っています(その時のことは応用物理学会誌2020年89巻9号
https://www.jstage.jst.go.jp/article/oubutsu/89/9/89_543/_article/-char/ja に記載)。
とはいえ、企業勤めの方々にとって社会人ドクターを取るのは容易ではないと思います。
今の仕事との関係、会社の理解や時間の捻出、取りたいと思っても多くの方があきらめて
いるのではないかと思います。
この点は、我が国の科学振興においても不幸であって、こ
うしたモチベーションの方々をもっと積極的に支援することが日本の基礎科学において重
要だと考えています。
一方で、企業側からすると社会人ドクターを支援しても転職してし
まうのではないかというネガティブな思いも理解できます。
人材の流動化とい
うこともありますが、基本的にその企業が魅力を持たなければいけない訳であって、そう
した支援をする会社なら優秀な人も集まってくると思います。
弊社では、このような思いから共同研究先の大学の先生と連携し、企業の方に博士号を取
得するサポートをしております。
さらに、大学を引退された先生方や企業OBの方々のお力
も借り、大学学部の内容から製品開発における現象について体系的に学ぶ場も、オンライ
ンやリアルで提供しております。
一人でも多くの方が基礎科学を学んで実社会で活かしてもらえるよう、社会貢献の一環と
して今後も取り組んで参ります。
河野拝